ドイツに学ぶ働き方

海外居住経験も留学経験もない筆者が2018年から2019年にかけてドイツに海外転勤。その時学んだ違いを徒然なるままに。

コストに対する意識の違い

どもーdomoです!

 

今日はドイツで働いて感じたコストに対する意識の違いについて書きます。

結論を言うと私のいたドイツの会社はビジネスにおける数字に対してめちゃくちゃ厳しかったです。

とても分かりやすい例が、新商品を進めるか否かを決裁するGateというシステムです。

Gateというシステム自体は日本でも採用されており、それ自身が特に先進的な仕組みというわけではありません。

ここで簡単にGateというシステムを説明します。

 

f:id:raisinmania:20200621161404j:plain

Gateは新商品開発を進めるための承認プロセスで、会社によって回数は異なるかもしれませんがGate1からスタートし、Gate2、3と承認を得て、最後のGateを通過して初めて発売を迎えることが出来ます。

それぞれのGateには通過するための要件があり、要件を満たしているかどうかを判断するための資料をたくさん作成しないといけないため、私個人としては嫌いです。

 

では本題の何がそんなに違うのかというと、通過するかどうかの基準です。ビジネスの是非を判断するための基準がビビるほど厳しいのです。

基準が大きく2つあり、

①販売価格から製造原価を引いた粗利額を販売価格で割った粗利率が40%以上

②発生する投資をどのぐらいの期間で回収できるのかの投資回収期間が2年以内

これら2つを満たさない課題は戦略的商品を除いてGateを通過しません。

さらに②には開発に携わる人の人件費や試作費等も含まれます。

私の今いる日本の会社ではこれらは含めていないので、日本でこれを適応させたら新商品なんて一つもGate通過しないんじゃ・・・と感じました。

 

f:id:raisinmania:20200621174231j:plain

ここで、1人の人が複数のプロジェクトを進める場合どうするの?という疑問が発生します。この場合は実際にそれぞれどの程度の時間を割いたかをもとに人件費を配分して計算します。これを毎月システムに入力することでどのプロジェクトにどの程度のコストが現在進行形でかかっているのか見ることが出来ます。

 

Gate通過の要件に人件費が含めれていることが残業が許されていない理由の一つで、人件費が嵩むとプロジェクトのビジネス上の数値が悪くなり、どこかでつり合いを取らないといけなくなってさらに無駄な工数が発生します。

 

就業時間の違いについては過去にも書いたので興味がある方はご参照ください。

domo-arigato.hatenablog.com

 

こんなにコストに厳しかった会社ですがあるものに対しては、私にとっては無駄とも思えるほどお金をかけていました。それは商品の「品位」です。

例えばエンドユーザーが商品を操作する際のスムーズさや、重さなどを実現するために日本の同様の製品に比べてお金をかけています。

これはブランド価値に直結するものであり、お金をかけて良くしたからと言って短期的な数値には結びつきませんが、ドイツのマネージャーはここに対して強い判断軸を持っていました。

こんなのを見たらマネージャーにはなりたくないというか、なれそうにないなと感じてます。