ドイツに学ぶ働き方

海外居住経験も留学経験もない筆者が2018年から2019年にかけてドイツに海外転勤。その時学んだ違いを徒然なるままに。

終業時間の公差

どもーキリンザストロングが大好きなのにアルコール度数9%酎ハイを家族に禁じられ、5%の中でいろいろ試した結果、気に入るものが無くて酎ハイ飲むのやめようかと思ってるdomoです。嫁の作戦成功です。

 

今日は終業時間の公差について書きます。

なんのこと?ってなると思うので順を追って説明します。

 

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まずほとんどの日本の会社は定時という概念があり、1日当たりの規定終業時間が設定されていると思います。これに月あたりの稼働日数を掛けたものが月の就業時間になります。これを超過した分がいわゆる月あたりの残業時間ですね。

私の勤めている会社もそうですが、ほとんどの会社では規定の終業時間を下回ることは認められておらず、上回ると残業時間とみなされて残業代が発生します。

 

コロナ以降、私の会社の業績も漏れなく下降気味で、今まで部署平均20時間以上だった残業時間が平均5時間以下にしろ、との号令がかかりました。

ここで何を思ったのかうちの部門長は残業ゼロの人と残業していい人を分ける、と言い出し、ゼロの人はマイナスでもプラスでもなく、1分単位での終業時間の調整を強いられています。

残業ゼロに認定されたチームメンバーからの評判はすこぶる悪く、ゼロにするためにかなり終業時間に気を使わないといけない割に意味合いがよくわからないと言われました。

 

私はこの施策は少なくともものづくりに携わる人がやることじゃないなと思ってます。

その理由は公差がないからです。笑

 

私も会社に入るまであまり意識したことが無かったのですが、ものづくりとは製造ばらつきとの闘いでもあります。設備の製造条件や、温度湿度などの環境条件により、製造された製品はそれぞれ僅かに異なります。そして時としてこの僅かな差が性能に大きな影響を及ぼすため、それらを発売までにどこまで確認できるかが開発の腕の見せ所になります。この許容できるばらつきのことを公差と呼んでいます。

 

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話を戻すと、ものづくりには許容ばらつき(公差)が必須で、今回の部門長の号令はそれを全く加味されていなかったため、メーカーの部門長としてナンセンスだと思ったのです。

 

ではドイツではどうだったかを紹介します。会社によると思うので一例と認識してください。

まず、月の就業時間にはマイナスが20時間、プラスが40時間の公差があります。例えば160時間が決められた終業時間とすると140時間から200時間の間働けばよいということですね。

そしてプラスになったとしても残業とはみなされません。これはそういう契約になっているためです。

 

月あたりは幅でいうと60時間もある公差ですが、年間ではやや厳しくなります。

年間の就業時間の公差はマイナスが20時間、プラスが2時間の公差です。月よりもだいぶ厳しいです。

ですが、プロジェクトの繁忙期には仕事をたくさんしなければいけなかったり、家族の都合であまり仕事ができない事は誰にでもあることだと思います。かつ、それらはそんなには長く続かないことが多いため、月当たりの就業時間をフレキシブルにするというのは今後日本でも絶対に必要なことだと思います。

またドイツらしいのはマイナスは結構許容してくれるということですね。

前にも書きましたが日本と違って成果主義のため、働いた時間についての考え方は日本より緩いです。

 

ドイツでの働き方については以前にも書いたことがあるのでリンクを貼っておきます。 

domo-arigato.hatenablog.com 

ではまた。

 

domo